アドベンチャーとノベル
この遊びの入口は洞窟です。1976年から77年にかけて『Colossal Cave Adventure』が文章だけで洞窟を歩かせ、『Zork』がそれを深めました。1980年、ロバータ・ウィリアムズの『ミステリー・ハウス』が絵を付けます(この「最初のグラフィックADV」は検証しても前例が見つかりませんでした——珍しく生き残った「最初」です)。日本での折り返し点が1983年の『ポートピア連続殺人事件』(堀井雄二)。当初はキーボード入力で、店頭で想定外の言葉に打ち負けた経験から、翌年『オホーツクに消ゆ』でコマンド選択式が生まれ、1985年のファミコン版ポートピアがそれを日本中に広げました。「犯人はヤス」は、日本でいちばん有名なネタバレとして残っています。そして堀井はこの操作系を持って次へ行きます——本人の言葉で「RPGは難しいから、まずはアドベンチャーゲームで慣れてもらおうと思った」。ポートピアはドラゴンクエストの前フリでした。もう一つの水路は音です。中村光一は容量の都合でRPGを諦め、スーパーファミコンの音源を活かした『弟切草』(1992)で「サウンドノベル」を発明。アンケートはがきの「次はミステリーが読みたい」に応えて若手作家へ手紙を出し、我孫子武丸の返信から『かまいたちの夜』(1994)が生まれます。同じ1994年、恋愛が分岐しました(『ときめきメモリアル』と、光栄の女性チームが十年かけた『アンジェリーク』)。2001年、巧舟の『逆転裁判』は法廷を遊びにします——「かなり初期から“弁護士のゲーム”というアイデアはありました」、上司には「弁護士はやめたほうがええんちゃう?」と言われながら通した企画でした。そして同人から出た『ひぐらしのなく頃に』(2002)と『Fate/stay night』(2004)が海を渡り、いま日本のノベルゲームは世界の棚に並んでいます。
神話の訂正
コマンド選択式のアドベンチャーは、ファミコン版ポートピアで生まれた
初出はパソコン版の『オホーツクに消ゆ』(1984)で、ファミコン版『ポートピア連続殺人事件』(1985)は「ファミコンで初めて広めた側」です。動機のほうは堀井雄二本人が語っています——キーボードで言葉を打たせる作りにしたら、店頭のデモで「僕が想定してない言葉をみなさんが入れていて、プログラムが反応しなかった」。想定外の入力に負けたことが、選択式という発明を呼びました。