パックマン
ナムコの岩谷徹が作った、日本生まれの遊びです。撃つのではなく食べる。侵略者を迎え撃つ殺伐とした画面ばかりだったゲームセンターに、女性のお客さんを呼びたかった——という設計の意図を、本人が繰り返し語っています。そして北米で、この遊びは黄金期の最大の現象になりました。おもしろいのはその続きです。マサチューセッツの若い技術者たちの会社(GCC)が、無許可の改造キット「Crazy Otto」を作ってミッドウェイに持ち込みます。ミッドウェイは「改造ではなく続編にしよう」と言い、それが『ミズ・パックマン』になりました。ロイヤリティを巡る訴訟でGCCは勝ち、無断の改造から始まったものが、公式のシリーズとロイヤリティの支払いにまで行き着いたのです。岩谷本人も後年、姉妹作の成功を好意的に振り返っています。遊び手が勝手に手を入れる——この線は、十三年後のDOOMのMOD文化まで続きます。
神話の訂正
パックマンは、一切れ食べたピザの形から生まれた
作者の岩谷徹本人が「half true(半分本当)」と述べています。さらに2016年の講演では、あの有名な逸話の写真について「実はジャーナリストが撮った写真だ」とも語りました。日本語の「口」の字を丸めた説も広く語られますが、こちらは記事側の説明が中心で、本人の言葉としては確かめられていません。発想の物語は、語られるうちに輪郭がはっきりしていくものなのかもしれません。