タロットとトランプ諸ゲーム
現存する最古のタロットは、ヴィスコンティ゠スフォルツァ・タロット。研究者の推定では1442〜47年ごろ、ミラノの貴族のために作られました(貨幣札の意匠が、1442年に鋳造され1447年に廃止された金貨と一致することが手がかりです)。当時の呼び名は「トリオンフィ(切り札)」——つまり、切り札のあるトリックテイキングの遊びでした。もうひとつ名前の話をしておきます。「マルセイユ版タロット」はマルセイユ生まれではありません。北イタリアの札が1499年のフランスによるミラノ侵攻を機に南フランスへ伝わり、17世紀にマルセイユの札職人たちが定着させたものです。そして「マルセイユ版」という呼び名自体、1856年にフランスの札の歴史家ロマン・メルランが付けたもの。この地図が何度も書いてきた「名前は外から、あとから来る」の、きれいな一例です。
神話の訂正
タロットは古代エジプトから伝わった秘教の知識を絵にしたものだ
この話には史料の裏づけがありません。言い出したのは18世紀後半のアントワーヌ・クール・ド・ジェブランで、当時の流行だったエジプト趣味に沿った推測でした。実際のタロットは15世紀の北イタリアで、タロッキという札取りの遊びの道具として生まれています。占いに使われるようになったのは18世紀——1783年からエテイヤ(本名ジャン゠バティスト・アリエット)が解釈の体系を作り、カード占いで生計を立てた最初の職業占い師になりました。三百年ほど、この札はただの遊び道具だったのです。