ウル王室のゲーム
ウーリーが1922年から掘ったウル王墓群から、ラピスラズリと貝を象嵌した20マスの盤が出ました。前2600〜2400年ごろ。木は腐って消えていたのに、象嵌だけが並んだまま残っていたので、盤のかたちが分かりました。遊び方は長く不明で、大英博物館のアーヴィング・フィンケルが楔形文字の粘土板(BM 33333)を解読して蘇りました。ここで、この地図も最初まちがえて書きかけたことを残しておきます——「盤の発見からルールの解明まで2400年」ではありません。空白は二段構えです。まず、盤が遊ばれはじめてから、遊び方が文字で書き残されるまでが約2400年(粘土板を書き終えたのは前177年11月3日、書記官イッティ゠マルドゥク゠バラトゥ。日付と名前まで残っています)。そしてその粘土板が現代人に読まれるまでが、さらに二千年あまり。四千年前の遊びは、二度も置き忘れられて、二度見つけ直されました。そして20マス盤はここで終わりません。エジプトへ、レバントへ、遠くインドへ渡り——コーチンのユダヤ人の家では、なんと1950年代までその末裔が遊ばれていました。文化も言葉も敵味方も越えて、四千五百年ぶん、ほとんど姿を変えずに手渡されていたのです。