観る遊び
観客のいる最初のゲーム大会は、いつだと思いますか。1972年10月19日、スタンフォード大学の人工知能研究所です。企画したのはゲーム会社ではなく、『ローリング・ストーン』誌の記者スチュアート・ブランドでした。名前は「銀河間スペースウォー・オリンピック」。優勝賞品は同誌の年間購読と、無料のビール。勝ったのは博士課程の学生ブルース・ボームガートで、九千語の記事が同年12月7日号に載っています(その記事はいまもアーカイブで読めます)。つまりこの地図の「画面の中へ」の帯にいるSpacewar!は、生まれて十年で観客を持っていたのです。産業になるのはずっと後でした。1999年から韓国のケーブル局がスタークラフトの大会を、実況とスタジオとインタビューという既存スポーツ中継の作法で放送しはじめ、2000年には「プロゲーマー」が職業として公認されます。日本では2006年12月のニコニコ動画から実況の文化が育ちました。そしてTwitchです。これは「観るため」に作られていません。ジャスティン・カンが自分の生活を24時間配信する実験から始まり、利用者が勝手にゲーム配信へ殺到したので、2011年6月6日にゲーム専門として切り分けたのが今の姿です。観られる場所は、たいてい観るために設計されていませんでした。